APECビジネス・トラベル・カード(ABTC)とは?
私は仕事で月2~3回程度、アジア太平洋地域を出張することがあります。
本記事では、私のような勤め人かつ出張族の方向けに必須と言えるカードをご紹介いたします。
頻繁にアジア太平洋地域を往来する勤め人や経営者にご紹介したいのが、外務省が発行する「APECビジネス・トラベル・カード(ABTC)」です。
このカードを発行すると、下記のメリットを享受することが出来ます。
メリット1:イミグレーション混雑時の待ち時間短縮
タイトルを読んで頭の中に「??」が思い浮かんだ人はおそらく海外出張や海外旅行が年に数回の人でしょう。
出張族ともなると、とにかく待ち時間行列が嫌いです。
「他人のためになぜ自分の時間を潰されなきゃいけないのだ」、と思うほど、最近はどの国へ渡航しても大量の外国人様がいらっしゃいます(私も彼らから見れば外国人ですが)。
海外出張や海外旅行が年に数回の人にはメリットを享受できないですが、この待ち時間を1/10程度に短縮できる方法が、このAPECビジネス・トラベル・カードの恩恵なのです。
APECビジネス・トラベル・カードを保有すると、“APECビジネス・トラベル・カード専用レーン”を通って、他の外国人様とは別のルートでイミグレーションを通過することができます。
要するに、外交官やパイロットと同じ特別なファストレーンを通過することができるということです。
例えば、タイのスワンナプーム空港を想像してみください。
イミグレーションで1時間前後待たされることが当たり前な状況です。
しかしAPECビジネス・トラベル・カードを保有してさえいれば、専用レーンに向かえば良いため、私の実績としては5分も並びません。
メリット2:ベトナム・インドネシアに強い
例えばベトナムでは日本のパスポートさえあれば観光ビザとして入国することはできます。
しかし、一度出国してしまうと30日間はビザなしでは再入国することが出来なくなります。
そのため、ベトナム出張を高頻度に行う勤め人・経営者にとっては、その都度ベトナム大使館でビジネスビザを取得する方も多くいらっしゃいます。
このAPECビジネス・トラベル・カードの存在を知っていればそんなことをする必要はありません。
このAPECビジネス・トラベル・カードを保有していれば、ビジネスビザとして機能するので、この制約から外れ、何度でもビザなしで入国することができるのです。
加えてインドネシアでは、ビジネス目的で入国する場合には ビジネスビザが必要となります。
イミグレーションの付近でビザを購入することができますが、これが35ドルもかかり、合計4回分の支払いでABTC発行費用の元が取れてしまいます。
ABTC保有者は、このビジネスビザを購入することは不要です。
メリット3:最長3ヵ月の滞在が可能
APEC加盟国(19ヵ国)の入国について、ビザが免除されるこのAPECビジネス・トラベル・カードですが、上記の通り時間短縮・費用削減以外にも、入国が許可されれば、最長3ヵ月の滞在が可能となることもメリットとして挙げられます。
例えば観光ビザなどでは3週間などの国もあるでしょう。
しかしこのAPECビジネス・トラベル・カードでは3ヵ月!期間が全然違いますよね。
そもそもなぜこのようなカードがあるか?
APECビジネス・トラベル・カードは、APEC域内の異動を円滑にするために、制度の参加国・地域の各国政府が勤め人・経営者に発行する特別なカードです。
日本では2003年から日本国外務省が発行しています。
適用加盟国は?
2019年時点では、以下19ヵ国に適用されます。
オーストラリア
ブルネイ
チリ
中国
香港
インドネシア
日本
韓国
マレーシア
メキシコ
ニュージーランド
パプアニューギニア
ペルー
フィリピン
ロシア
シンガポール
台湾
タイ
ベトナム
APECビジネス・トラベル・カード申請時の必要書類
下記の書類を準備し、日本国外務省に送りましょう。
<申請書類>
①申請書
②顔写真(4.5cm×3.5cm)2枚
③旅券写し(顔写真・身分事項ページ)
④在職証明書(総務へ依頼)
⑤貿易・投資実績を示す文書
⑥企業パンフレット
⑦返信用定型封筒
⑧郵便切手402円
⑨収入印紙13,100円
上記書類の申請後、APECビジネス・トラベル・カード到着まで、私の場合は約半年かかりました。
結構時間がかかるので、渡航回数が多くなるプロジェクト等の場合は、早めに申請することをオススメいたします。
また、パスポート更新時にも再度手続きが必要となりますので、お忘れなきよう。
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